登場人物
(ほとんど解説的な自己満足なので、興味ない方&未読の方はお控え下さい)

◆椎名梓(しいな あずさ)
song:月のワルツ/諫山実生
無気力の生活を送りつつ、憂に恋をしてからは揺るぎ無い愛と謎の背徳感にジレンマ。憂のミステリアスでイメージ的には「神」なところに惚れるも、不可侵な所が魅力のそれに自分と交わっていいものかと悩む。が、やはり愛しいので手を伸ばしてしまうという二律背反です。清十郎自身のこともけっこうそれなりには好きでしたが、恋愛的な愛だと考えればどこか違う。どちらかというと友人として、のほうが近い愛でした。無関心なところを清十郎は神のように崇め、梓自身も神であることに自分自身の価値を見出します。だからこそ同じ神である憂に手を出すのは憚らました。

◆大津清十郎(おおつ せいじゅうろう)
song:アンバランスなkissをして/高橋ひろ
中年の割と金持ち。梓の神っぽいところに惚れるが、梓が憂に恋をしてから失恋。二律背反に苦しむところとか、けれども結局愛してしまうところとか、けっこう梓と共通するものがあります。この人で出したかったのは大人ですがだらしなく想ってしまう所と、唯一の神が人間になることへの理解者として。変わるのが絶対的なことだと知りつつもやはり想い人の変化には戸惑います。

◆深堂憂(みどう うい)
song:カーニバルの主題による人形のためのいびつな狂想曲/楽士カンタビレオ
流れに身を任せて生きる、今も昔も無気力少年。直感で生きるからこそ、優一郎の自分を愛するようで愛していないような愛情や、梓の微妙な葛藤と真っ直ぐな愛情にも気付いています。梓へ恋をしているのか、優一郎に恋をしていたのかは個人の考えに任せますが、優一郎にはそれなりの愛情は持っています。が、それは優一郎を父のように慕う、あくまで擬似的な家族愛の上に成り立った、家族愛に限りなく近い恋愛です。

◆明山優一郎(あきやま ゆういちろう)
song:赤と黒/ALI PROJECT
変態的に美少年を愛する紳士。この人は、恋愛というよりも哲学的に美少年を愛しています。古典ギリシアの考えでは、善(アガトン)が愛される少年として挙げられ、また愛すべき対象でもあります。しかしながら実際に基調とされたのは美(カロン)でした。優一郎はどちらも変態的に愛している人物で、不可侵で神を連想させる憂は理想でしたが、梓と交わってからは人間になったしまったのであっけなく捨ててしまいます。憂自体も愛していましたが、それはあくまで憂の不可侵で深いアガトンと、その美貌であるカロンで、つまりは憂そのものよりも、憂が持っていた自分の「理想」でした。

◆作品
song:亡國覚醒カタルシス/ALI PROJECT
自己満足から始まって自己満足で終わった作品でした。「色」に拘った作品になっているのですが、色のイメージは人それぞれなのでやっぱりここも自己満足。個人的な考えとしては、暖色がプラスのイメージ、嬉しかったり愛しかったりですね。それで寒色はマイナスのイメージ、悲しかったり寂しかったりです。作品の文字色は勿論、登場人物ページの人物名の色もイメージカラーです。
目指したかったのは、各々が自分勝手だということ。自分勝手というよりは、その、ある意味皆底が見えないような感じを出したかったです。解説とか書いて初めて分かるような。清十郎は「理解者」として心情を明かす必要があったのでけっこうざっくばらんと書きましたが、他は割と解説読まないと何考えてるか分からないお馬鹿ばっかりになってると思います。
ぼかすつもりはなかったのですがどう書けばいいのか分からなくて結局上手くかけなかったのは優一郎の哲学的な愛。本能的に愛するのではなく、頭でこの子は理想の子だ、とか色々と考えてるから変態的になっている感じが出したかったのですが……。この人で言えるのは、同性愛ではなく少年愛だということ。
もっと満足できなかったのは、憂の心理描写。書かないところは徹底して書かないつもりだったんですが、やっぱり愛やら恋やらの不安定なものが絡むからあんまり神様っぽい雰囲気が出せなかった。もっとツンとしてて不思議な雰囲気を出したかったんですが。
やっぱり自分が生み出した人達ですから、これからのことなんぞも考えてしまうのですが、梓と憂は、憂は結局梓を好きになるかは分かりません。が、その隣に居てくれるけれど自分を見ない憂の態度に、梓の二律背反の苦しみは解決させると思います。清十郎はきっと、死ぬまで梓のことは愛するでしょうし、とてもとても悲しいでしょうが頑張って生きると思います。優一郎は特に語るほどでもないですが、これからもアガトンとカロンを持ち合わせる理想の少年を捜し求めるんだと思います。少しずつ番外編とかで満足できない分を満足させていければな、と思います。



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