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とことん自分はおかしくなったと、つくづく思う。いや、それは喜ばしい変化ではあるのだけど、個人的にはあまり喜べない変化であって。
憎んでこその関係だと思っていた。憎まれる要素が少なからずあいつにはあって、例えそれが逆恨みだったとしても、俺は憎まずにはいられなかったのだ。周りが賞賛するあいつと自分から見るあいつは全然違うもので、それが無性に苛立って。だっていつも一緒にいるのは自分なのに皆は俺を分からずやのように扱う挙句嫉妬という単語二文字で片付ける。
勿論あいつは周りが評価する通りに頭が良くて運動も出来る完璧な人物だとは思うけれど、それはあくまで才能の面であって、人格的なところに誰も気付きはしないんだ。おせっかいで、自分は上手いことをしたと思ってもこっちからしたら至極迷惑で、構ってやらないと少し寂しそうにして、けれど一人が嫌いなわけではなくて。
自分は何なのか、本当に謎だったんだ。勉強も運動も人並みであいつと兄弟と名乗ることすら億劫になってしまうような自分は、果たしていていいものなのだろうかと思えるほどに。あいつは自分を見てくれているけれど。皆愛してくれているけれど。美徳という名前だけの、自分。自分ですら自分が分からないという事実には目を瞑って、ただただ分かってもらえない不条理なジレンマをあいつにぶつけていたというだけの、寂しくて、哀しいだけの、こと。
あいつは気付いていたのだろうか。
俺があいつとの距離が広がっていくのを恐れていたということに。
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