【淑女】
貴女の乳房を愛する
太腿に圧迫される唇
怖がりなひと欠片の狂気
僕ならば乗っ取らせてあげる

てらてらと照る爪
顎をなぞる手が厭らしくて
ついつい僕は掻き毟りたくなる
崩れ落ちそうなほどの痛々しい視線
必ず求めてあげるから

紫色の棘が刺す
爆ぜるような愛が欲しいと
蕾は永遠に開かない
閉鎖空間で愛し合おう

【すべて】
貴方の胎児を食べた
へその緒が指輪
約束なんてしてない
貴方ならばすべて愛せる
空が紺色に深まれば僕はきっと貴方の傍に
永遠と思える快楽の一時を共有したいと思えるのは

貴方の胎児を食べた
羊水がスープ
僕はきっとまだ生きてるから
毒々しい青色も愛せている
貴方の血液はきっと桃色
空色が少しだけ泣いた

貴方の胎児を食べた
心臓は砂糖菓子
僕も貴方も
もう少しで超えられる

【戯れ】
眞白な兎が驅けるにはまだ早い
上弦の月のみが笑つた
掌の上でころころ搖れる
遊ばれ弄ばれ 愉快

白濁に目を奪はれるより
指先が觸れるはうが愛しい
陳腐な芳香にしばしの吐息を預ける
一時ですら勿體無いと云ふ

さう簡單に手放しはしないと
簡單に言ふことすら怖や怖や
明確なものなど命のみだと
夜空に告げた眞意は溶けた

朱だけが彩色の窮み
それならばと捨てた其れは
不可侵の一步
まだ操られてゐることにすら氣付かず
今日も愉快に 笑ふ

【空白日和】
さようならだけが消えた
僕たちが紡げない言葉
ずるいね 君も僕も絶対に頷くのに
現実は見て見ぬふりで今日も笑う

同じ鍵だけが繋がりなんて寂しいこと
切なさなんて僕が感じる意味は無い
怖がりな君はそのままでいいよ
きっといつか変われる

だって僕たちには嘘も掌もあるから
言葉は心をうつさない無意味な愛の形
掌は形だけが確かな赤い糸
携帯だって写真だって無機質だ

僕も君もいつかを思い描きながら繋がろうと必死になって
それでも心は消えて行くのに
努力も愛を連ねることもしなかった僕等
怖がりな君はそのままでいいよ
僕がきっと終わらせられるから

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