【愛したかった】
安くないのよと吐き捨てたのは
いつの夜だったでしょうか
市松模様の貴方
裏表が交差して滑稽

お高く纏った鼠が憎い?
それならば貴方の足元
噛み付いてみせましょうか
殺し合い蔑み合い
もっと頂戴と中毒です

怖がらないで愛して欲しい
この掌に許された欠片の心臓
憎むならば勝手
一生付きまとってくれたらいい

終わり良ければ全て良しだなんて
薄っぺらい言葉は必要ない
人々は過程を言い訳にするでしょうに
それならばいっそ
鼠になっても構わないと思った 冷たい朝

【doll,doll,doll】
薄い薄い人形の皮膚を被っておられる
君たちは天然の愉快犯
望んでいない結果だと言うのに
明日にはまたより厚く着込んでいる

誰も強制などしておらぬのに
君の心は人に委ねる
どうでも良いのです 君のことなど
君が他の人などどうでも良いのと同じように

隠すことが罪だなどとほざいてはいない
正なんて結局は誰かが決めた戯言
ただし果たして君の素性
天使か悪魔かは分かりませぬ
そしてその結果すら
きっと君は嘘だと言うのでしょうね

【棘】
愛情は確かにここに在るのに
伝わらないのと嘆いた日は
こちらから捨てようと思った
君がいないから

ゴミ箱はもう満タンだと
もう一人の自分が意地悪そうに笑っていた
止まらない慟哭は
静かに確かに私の胸を貫いたのだ

違うのです君のせいではないと
泣きながら伝えたのは記憶に新しい日
いいえ 私は多分
君のせいにして縛り付けたかったのだと

君はきっときっとどこまでも優しいから
私のことを忘れないでくれていたのでしょうけれど
私は強くなどなかった
君を心配して自分の生活が送れるほど
他人を想うことなどできなかったのです

辛いと泣く資格などないけれど
君を思い出すと自己嫌悪
どうしてもっと言ってくれなかったのだろう
自らの心臓は
鉛のように重くて苦しい

【処女】
水の中ぶくぶく
口と鼻から出てく泡は命の源
ずっとこうしていたら
人魚のように死ねるのかな

果たしてあの子は誠に聖女だったのか
恨みと後悔の海に溺れはしなかったのか
同類探しはまだ終わらない
弱い私を照らすのは止めてよ

甘く苦い空が光るから
君の生温い愛に焦がれる
長い長い夜が明けたら
君を愛せるかな

【エコノミー】
身のほど知らずが笑わせる
朝を夜だと言い放つ根性にかんぱい
今日は苦々しい日だったね

可愛いものを集める姿が豚
煌びやかに着飾る姿が牛
それなりを愛しましょうよ
行き過ぎたものほど醜いものはありませぬ

壊れかけた世界が
こうも愉快なものだとは
そして私は今日も独り
神にでもなった気分で笑う

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